A Story about the Peacoat ピーコートの話

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12月の英国は骨の髄まで凍るような寒さだ。
まだ暗い窓辺でブラックバードが陽気に囀る。
「片側だけ焼いたトースト」と卵で空腹を満たし
一杯のミルクティーで体を温め、仕事に向かう。
一般的な英国家庭でのささやかな朝の儀式だ。
玄関先で真鍮のコートハンガーに手を伸ばす。
ウールのピーコートは10年来のお気に入りだ。
大好きな祖父がいつも着ていたものだからだ。

テムズ川のほとりの職場まではバスで30分程。
所属してから10年間通勤ルートは変わらない。
昼食後はひとり外に出て散歩するのが好きだ。
バタシー橋の上で目を瞑り、水音に耳をすます。
するとまるで海上を旅するような気分になる。
海軍にいた祖父は色々な話を聞かせてくれた。
デッキを洗濯板にしていた事、無限の星空の事、
船上で飼われていた子猫のピートの事なども。

中にはこのピーコートについての話もあった。
監視の時デッキなどで着用されていたそうだ。
海上では風向がすぐ変わるので、左右どちらを
前に被せても使えるようになっているそうだ。
幅広の大きな襟も実用的なデザインの一つだ。
立てる事によって防寒性が増すだけではなく、
集音器の役割も果たせると祖父は言っていた。
汽笛など、遠くの音を聞こえやすくするからだ。

着用者の身を守るためになされる色々な工夫。
軍服にはそれが細部に至るまで詰まっている。
元の形を今風にアレンジした服は沢山あるが、
自分にとってはこの定番が一番しっくりくる。
ブラックバードより早起きな事が自慢の祖父。
形見のピーコートは彼の墓参りにも着ていく。
語り継ぎたい思い出、そしてそれにちなんだ服。
それらはいつしか世代を超えた愛着に変わる。

詳細、購入は以下のリンクをクリック(別ウィンドウが開きます)
<NIGEL CABOURN - MILITARY PEACOAT ナイジェルケーボン - ミリタリーピーコート>
80350000000 ブラック/ネイビー ¥76,000 +Tax


P.S.
余談ですが「片側だけ焼いたトースト」はスティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」という歌にも出てきます。”I like my toast done on one side” の所です。 冬の寒空にぴったりの哀愁漂ういい曲です。


2017.12.22. (Fri) 11:07 | ・NIGEL CABOURN | comments (0) | page top↑

シリーズ[マンソン豆知識]第3集 2種のレザーと守りぬかれる伝統製法

「服をつくる為の布」からつくるナイジェルと
「靴をつくる為の革」からつくるレッドウィング。
素材と製法への飽くなき探求という共通点が
マンソンB5チャッカをこの世に送り出した。

今シリーズ第1集ではブーツの誕生秘話、そして
第2集ではその形の由来をお届けしてきた。
最終回のテーマは素材と製法に拘り続ける姿勢。
これを抜きにして2社のコラボレーションは
成り立たなかったのだから最重要とも言えよう。

早速だが、以下の写真の小さな紙を覧頂きたい。
左右2枚共に検品責任者の名前が記してある。
(左:Tamara氏、右:Romualdo氏)
最高品質のブーツの製造においての最終工程、
検品に至るまで気を抜かない意志がそこにある。
レッドウィング社ならではの拘りの一つだ。

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S.B.フット社はレッドウィング社の所有する
唯一のタンナリー(革をなめす工場)である。
丁寧に、正確に、時間をかけてなめされていく革。
染色から仕上げまでの様々な工程を、技術責任者、
マスタータンナーが司るのがこの会社の伝統だ。
主に加工されているステアハイド(肉牛の皮)は、
ワークブーツに相応しい強さ、滑らかさを持つ。

(S.B.フットタンナリーの様子 - a video from http://www.redwingshoes.com)


マンソンB5チャッカに使われている革は2種。
ラフアウトレザーとフルグレインレザーだ。

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(写真左:ラフアウトレザー、右:フルグレインレザー)

毛羽立った繊維層を表側にしたスエードレザー。
その中でも革の銀面を裏側に残したものを
ラフアウトレザーと呼ぶ。耐久性は非常に高い。
銀面と比べ、野外の環境でも傷つきにくいからだ。
粗々しく無骨な風合いが何とも味わい深い。

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革の銀面とは、なめされる前は肌面であった場所。
それを残し、なめすとフルグレインレザーになる。
革の表面に人工的な処理が施されていない分
本来持つシワや傷も味わいとして楽しめる。
耐久性と通気性に優れ、ワークブーツに最適だ。

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レッドウィング社には半世紀以上変わらない
伝統技術がある。グッドイヤーウェルト製法だ。
1920年代のピューリタンミシンを今も使い、
ソールの張替ができるこの製法を堅く守っている。
独自のダブルステッチ、トリプルステッチには
ピューリタンステッチという愛称が付いている。
靴のインソールにはレザーとコルクが使用され、
履きこむ度に足にフィットしていく設計だ。

( レッドウィング工場内の様子 - a video from http://www.redwingshoes.com)


誰にも何十年経っても、末永く付き合いたい物や事がある。
それを愛着が湧く、といってもいいのだろうか。
5年、10年、20年先も貴方の生活の一部になっていてほしい、
そんな両社の思いがここまでの拘りの原動力となっているのだ。

(詳細、購入は以下のリンクをクリック。別ウィンドウが開きます。)
<RED WING x NIGEL CABOURN - MUNSON B5 CHUKKA> <レッドウィング x ナイジェルケーボン − マンソンB5チャッカブーツ 2017年秋冬>¥55,000 + Tax


2017.12.08. (Fri) 19:00 | ・NIGEL CABOURN | comments (0) | page top↑

シリーズ【マンソン豆知識】 第1集 マンソンラストとその生みの親

 5年ぶりに夢のコラボレーションが実現。 
再度ナイジェルケーボンと手を組んだのは、
ワークブーツ界のジャイアント、レッドウィング社。 

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そして生まれた、マンソンB-5チャッカブーツ。 
その無骨な表情の裏には秘められた物語がある。

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 一度では語り尽くせないブーツの魅力とは何か? 
ここではそれを数回に分け、お届けしようと思う。

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初回はマンソンラスト誕生についてのお話。
ラスト」故に最終回のテーマにしたかったが、 
やはり肝心な話は最初にしておきたい。 

長い前置きはここまで。 
それでは始めマンソン! 

軍靴のフィッティング改善によって生まれたシューラスト
米国陸軍学校で教授を務めたマンソン博士。
専門は軍事衛生学(兵士の健康維持や疫病予防)。
足の病気は万病のもとという理念のもとに、
軍靴のフィッティングを強化する事を表明。
ラストを新しく作るプロジェクトが始まった。

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不屈の足オタク、マンソン博士
2000人の歩兵の足の調査を決行した博士。
4000個の足の型取りに必要とされるのは、
同量のフィギュアを製作する様な、根気と熱意。
研究にかけた歳月は、なんと4年余り!その上、
フットケアの手引きまで作ってしまう徹底ぶり。

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そして1912年(いい軍、いいフットの年)、
マンソンラスト、ついに完成!

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足先は締め付けず、土踏まずと踵を締める
足指の並びに沿って傾斜したラストの爪先部分。
それに中指部分から親指部分にかけての膨らみ。
ビルケンシュトック社のものと共通点がある。
足先を締め付けることによって起こる、
外反母趾やハンマートゥを防ぐ設計である。

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(図左 外反母趾、右 ハンマートゥ)

土踏まずと踵を締めることによって得る安定性。
その特性はこのラストを使用した靴のみが持つ。
他のラストでは味わうことができない感覚だ。

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民間人用のお洒落靴を履いた兵士の足先。尖った爪先には不要なデッドスペースがある。全体的に締め付けられていて窮屈そうだ。
(マンソン博士の著書:The soldier’s foot and the military shoe; a handbook for officers and noncommissioned officers of the line、1912より拝借)

実用性、即ち、命を守るもの
デザイン性のみを重視し、足の形に合わない靴、
それは姿勢を歪め、歩く距離をも縮める。
歩兵にとって歩けなくなることは死を意味する。
故に正しいフィッティングは兵士の命を守る。
デザイン性より機能性。そこに博士の真意がある。

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<RED WING x NIGEL CABOURN> MUNSON B-5 CHUKKAレッドウィング x ナイジェル・ケーボン マンソンB-5チャッカブーツ ¥55,000 + Tax

第2集では、このブーツの原型になったB-5、
そしてチャッカブーツにクローズアップします。

シリーズ【マンソン豆知識】、
次回に乞うご期待!


2017.10.20. (Fri) 14:01 | ・NIGEL CABOURN | page top↑